我が青春の角川三人娘

大人のJ-POPとは、TSUTAYAにおける「フォーク・ニューミュージック、歌謡曲、懐かしのアイドル」に分類されるカテゴリーをまとめた、山哲流のジャンル。
音楽がすべてだった世代の大人へ送る。

山哲
ハードロックからAKBまで幅広く好み、業界31年のTSUTAYA音楽バイヤー。

角川春樹

というカリスマが、「メディアミックス」戦略を屈指し映画界の常識を覆した名作「犬神家の一族」公開から40年。
角川商法と呼ばれた一連の戦略から生まれし名作と並ぶ功績として語り継がれる「角川三人娘」薬師丸ひろ子、渡辺典子、原田知世を歌手として「大人のJ-POP」的解釈から振り返りたい。薬師丸ひろ子は1978年公開の高倉健主演映画「野性の証明」の子役オーディションでデビュー。原作のイメージとは違ったが、将来のスターがどうしても欲しかった角川春樹から最終オーディションでの投票依頼をされた事を審査員だったつかこうへい氏は著作で明かしている。この「歴史的根回し」が無ければブレイクした「セーラー服と機関銃」も生まれなかったはず。歌手としても一時代を築いた彼女の1曲を個人的にあえて選ぶとしたら、赤川次郎原作で映画化され、松田優作と共演した「探偵物語」の同名主題歌。今年、作者である故・大滝詠一氏のオリジナルヴァージョンが33年ぶりに発表されたのも奇跡。

次女にあたる渡辺典子は、薬師丸が大学受験のため休業中という大人の事情で開催された「角川大型新人オーディション」優勝者。

三人娘の中では一番地味な印象だが、「歌手」としての実力は一番とマニアは口を揃える。特にデビュー曲である「花の色」はTVドラマ版として主演した「探偵物語」の主題歌で、財津和夫による神曲。1987年にリリースした「リトルダンド」という曲も秀逸なのだが、主演映画「いつか誰かが殺される」の中で、名曲「サマータイム」を歌うシーンが忘れられない。(サントラにのみ収録)

末っ子である原田知世は、渡辺典子が優勝したオーディションで当日急遽「特別賞」が制定され、受賞。

休養中の薬師丸を補完すべき「スター」へのレールを用意されたのは歴史が物語っている。歌手としても一番活動歴が長く、今でもコンスタントにリリースを続け、熱心なファンを魅了する。「時をかける少女」はユーミンによるマスターピースだが、映画の前にTVドラマ版「セーラー服と機関銃」「ねらわれた学園」の主演をしていて、そのそれぞれの主題歌「悲しいくらいほんとの話」「ときめきのアクシデント」がどちらも来生たかおによる神曲。また後藤次利による「雨のプラネタリウム」「空に抱かれながら」のシングル2曲を収録したアルバム「Soshite」の1曲目に収録された「さよならの美術館」が隠れ神曲。

コンサートでは「あの頃のように今は歌えないから」という理由で長い間封印していた「時をかける少女」も最近はアンコールで歌っているようである。

三人娘とも実物を「お見かけした」事はあるのだが、ちゃんと「お会いした」ことは無い。

ただ、薬師丸ひろ子とは仕事で「挨拶をする」と「電話で話す」という2度のチャンスを時のいたずらで逃すという「歴史的スレ違い」を経験(笑) 角川書店発行の雑誌「バラエティ」を定期購読し、1ヶ月だけ同じ年でいられることに喜びを感じていた中学生時代は懐かしいが、青春時代にいつもそばにあった音楽を今あらためて聴きなおす事で、当時気づかなかった発見がきっとあるはず。それこそが「大人のJ-POP」の本当の楽しみ方であり、レンタルの価値だと思う。

時をかける大人(笑)

40年前は貸レコードも無かったしね。

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