お子様とデート中の人、絶対観ちゃダメ!!韓国の官能サスペンス「お嬢さん」を観てみた

“韓流”なんてと…思ってた自分のバカバカ!!韓国のサスペンス、最高で最狂。

個人的主観だが、韓流は日本の90年代のトレンディ風ラブストーリーや大河ドラマのイメージが強く、50代・60代女性の為のジャンルだと思っていた。最近気づいたが、ただそれらが大衆受けしていて、沢山出回っているのでそういう印象を持っていただけだった。私はバカだった。韓国のサスペンス、ミステリー、アクションが凄いことを今まで知らなかった。サスペンスやドラマは邦画より表現、描写ともにダイレクトで辛辣。問題定義を持ったドラマも救いなどない描写が多い。邦画の様な、ハリウッド映画の様なスッキリ感は観終わった後にない(そういった作品が目立つ)。鑑賞後にも、「これを観て、私はどうする?」そんな事を考えさせられてしまう作品が多く、この新しい感覚に魅了された。

ザ★変態監督、パク・チャヌク

「お嬢さん」の監督は「オールド・ボーイ」「渇き」等を手掛けた監督パク・チャヌク。とても変態でバイオレンスで目をそむけたくなるような胸糞映画、鬱映画を私たちに魅せてくれる。苦いものでも美味で忘れがたい味。そんな比喩が似合う作品を生み出すパク・チャヌク。彼の手掛けた「オールド・ボーイ」はバイオレンスアクションで、ハリウッド映画化もされた程である。その線では非常に評価が高く、評判の作品。やはり「お嬢さん」も変態ボルテージがマックスの表現をしてくれるし、所々にバイオレンスで過激な場面の中にクスリと笑える箇所があるのも魅力。今回の「お嬢さん」に関してはジャケットの真紅がもたらすイメージよりはバイトレンスさには欠ける。だがその倍以上にエロくて変態的だ。

そりゃ話題になるし、評価もされる。そんな数々のポイント

2005年に海外版「このミステリーがすごい!」第1位、そしてCWAヒストリカル・ダガー受賞をした、サラ・ウォーターズ著「荊の城」が原作だ。この著者はレズビアンとカミングアウト済みのミステリー作家で「なるほど」と思ってしまうほどに同性愛の描写が多く見られ、その辺りの表現もとても緻密で繊細。「荊の城」の映画化だ!という事で話題にもなった。
そして侍女スッキ役を演じるキム・テリ。彼女は「お嬢さん」のオーディションで1500分の1の競争率を勝ち抜き、主人公に抜てきされた注目の新人女優である。あどけない笑顔と横顔が特に可愛らしい印象の27歳の彼女の中には芯の強さが垣間見れる。そんな新人キム・テリとこの作品のキーとなるお嬢様、秀子を演じた大女優キム・ミニの「これ、こんなに普通に新作ラインナップに堂々と並んでていいの?」位身体を張ったラブシーンがド肝を抜かれる。

簡単なあらすじ

舞台は1930年台の韓国。まだ日本統治下にあった、日本と韓国の関係が歪みきっていたすさんだ時代だ。韓国人も日本人も両国語を話し、韓国人は日本人を忌み嫌い・憎みながらも従順した姿勢を見せる。
そんな荒れた世の中で詐欺師の集団の中で幼いころから育てられた少女スッキが藤原伯爵と呼ばれる詐欺師から、ある詐欺の計画を持ちかけられる。その内容は、莫大な財産の相続権のある令嬢、秀子を伯爵が誘惑し結婚し、その後精神病院に入れて財産を山分けするという計画だ。その秀子を陥れる役割として秀子の侍女をして欲しいという役割をスッキは言い渡される。
彼女は大きなお屋敷に住む日本文化に傾倒した変態的思考を持つ叔父の家で一緒に住む秀子の侍女として働き始める。スッキは献身的に秀子の世話をし2人はお互い心惹かれるようになるが…。伯爵・叔父・莫大な財産・秀子。スッキにとってどれは本当でどれが偽りなのか。騙し、騙され、最後に泣きを見るのは一体誰なのだろうか。スッキ、伯爵、秀子の目線から三部構成で物語は進んで謎が解き明かされる。

「ラ・ラ・ランド」が今1番のデートムービーというならば、「お嬢さん」は今1番の非デートムービー

R18指定というだけあって、当たり前だが、エロティックな描写がとても多い。日本文化に傾倒する秀子の叔父の趣味嗜好も中々の世界観だ。姪に人前で艶やかな衣装を身に着けさせて日本の官能小説を朗読させるシーンがあるが、非常に変だ。「あのー…身内ですよね?」と確認したくなる。そして隠語の連発。それがまたカタコトの日本語なので非常にエロい。スッキと秀子のささやかなやりとりでも直接的ではないが艶っぽい描写が多い。そして身体を張った彼女らのシーンは圧倒的。昼はみんなで「ラ・ラ・ランド」、夜は1人で「お嬢さん」だ。

言葉で表現できない映像美とファッション

1930年のファッションはロレッタ・ヤング、ジーン・ハーロウが映画で身につけていた様な、妖艶で今見てもとても素晴らしいファッションも流行した。決して派手ではないメイクなのに色っぽさが常に漂う、秀子役のキム・ミニの身につけているファッションがどれも素晴らしくおしゃれである。堅くないテロンとした生地、すこしツヤ感のあるサテン生地、透けるオーガンジーやチュール生地。手袋(手袋をはずす動作もまた妖しい)。まだファスナーがなく背中部分にボタンの多いワンピース。上品なのに妖艶だ。ツバの大きな帽子もとても令嬢らしくファッショナブル。そして、色の構成や映像美にも心惹かれる。パッケージのジャケット写真の様な真紅の服が映える、変態叔父の日本文化に傾倒した少し日本的でもあり、そうでもない所もある味のあるインテリアや、真紅に相反する真緑の着物。真紅はキーカラーとして構成されているが、その色が所々に繊細に散りばめられられているバランスもセンスが光っている。お屋敷でのシーンはどこをとっても画になる様な映像美なので、是非注目して欲しい。

決して万人に受ける作品ではない。不快に思う人も沢山いるであろう。そしてみんなでみて和気あいあいと感想を話せる映画でもない。でも、それでも美しく、情熱的で素晴らしい作品だ。評判どおりの衝撃を受けれることは間違いない。