”衝撃”そんな簡単な言葉では言い表せない映画「哭声/コクソン」を観て

とにかく鑑賞後の疲労感がすごい

私は間違いなく2キロは痩せた気がする。ここ最近のアジア映画のパワーに圧倒される今日此の頃だが、ここまでに凄い作品はあっただろうか?言葉で言い表せない衝撃、そして長尺の156分。軽く箸休めで観れる作品ではない。謎が謎を呼び、不可解な状況が連鎖する、ジャンルもオカルトなのかミステリーなのか、ホラーなのか、サスペンスなのか…不明だ。今まで観た既成の作品に当てはめて考えるほど観ている者を翻弄する。今までの既視感などお構いなしだ。ではどんな作品なのか詳しく説明しよう。

監督はナ・ホンジン

「チェイサー」「哀しき獣」等のスマートなバイオレンス映画で知られるナ・ホンジンが監督だ。韓国国内では観客動員700万人に迫る大ヒット作となり、韓国でのレーティングはR15指定。タイトルの「哭声/コクソン」は泣き叫ぶ声という意でご覧の通り終始、誰かが叫んでいる。この舞台となった実在する町「谷城(コクソン)」はナ・ホンジンが幼少時に住んでいた場所であり、コクソンがあて字としてタイトルとなっている。

あらすじ

舞台はタイトルにもなっている何の変哲もない谷城(コクソン)、という町。主人公はそこで妻・母・娘と住む警官の中年男。彼はこの町で連続して起こる謎の事件、自らの家族を惨殺する殺傷事件の捜査を担当していた。容疑者の動機は皆無で、町に健康食品として出回る幻覚症状や狂人化してしまう植物の混在されたものを服用して、との事で公表されるが、事件が収集がつかず、その他にも数々の不可解な症状や現象が発症する。
捜査は難航するが、その事件が起こってから、山中でひっそりと生活している「日本人」がおり、その「日本人」の呪いだというと噂に。そして、その噂と共により謎めいた現象が起き続ける。そして主人公は奇妙な悪夢を寝ている時にみていつもうなされる。主人公は意を決して「日本人」に会いに行く。彼はその「日本人」の家で数々の町内で起きた事件の写真、そして不可解な祭壇などを発見。そしてそこには自分の娘の靴もあった。主人公は娘に迫る危険から回避するために奔走するが、娘の凶暴化、足に浮き出た謎の湿疹を目の当たりに。彼はこの事件の呪縛から打開できるのであろうか、そして娘を無事救えるのであろうか。幻覚性のある食品、日本人、呪い、止まらない事件。謎が謎を呼び、主人公は翻弄される。

日本でのキャッチコピーは「疑え。惑わされるな。」

謎の幻覚性植物、日本人の存在、娘を救うために呼んだ祈祷師、そして数々の不可思議な事態。ナ・ホンジン監督は主人公の目線で私達観ている側にも謎を追わせて、奇怪な事態が続き、何が正なのか、何が悪なのかという目線を惑わせる。作品序盤は割とゆるやかな話の展開で過激な描写がある事は否めないが、ゆったりしている。なのに急にエンジンがかかったように展開がスピーディーになり、急展開の嵐がフル稼働状態が長く続く。まさに観ているこちらが主人公と共に行動している町の者と同じ目線で事態に振り回される。最初にも書いたがそれが156分だ。だが事態の収拾に時間も忘れる。

怪演する「日本人」國村隼

「哭声/コクソン」で、彼は外国人として初めて青龍映画賞で賞を受賞。唯一の日本人の登場人物で、非常に謎な存在だ。結末は相違するのかどうかは観てほしいが、「犬神家の一族」のすけきよの様な存在感。私個人的に國村隼氏は温和な男性の役をしている事が多く、三石研あたりなら納得の役どころであったが、彼はイメージと違いすぎてとショッキングであった。進撃の巨人で徳のある役をしているが、実は…とか、シン・ゴジラでもいい役どころだが夜な夜な山奥で生肉をふんどし姿で食らっているのでは…!?などもう彼のイメージが「コクソンに出てくる謎の日本人」から払拭できるのか心配だ。でも彼は出るべくしてこの映画に出たのだと思う。音読みすると「コクソン」さんなのだから。そして、ナ・ホンジンの「日本人」の描き方がまた良い味だ、不快に思う方々も多いであろう。しかし自分の視野の狭さに気付かされた。

観ない方がいいかもしれない。でもこの新しい感覚の描写は他で観れる事はないだろう。衝撃などという簡単な言葉では言い表せない。そして観る人様々な着地があるだろう。鑑賞して様々な考察を話し合いうと楽しいだろう。そして、私達はその時までも、疑い、惑わされてはいけないのかもしれない。ナ・ホンジンの思惑通りに踊らされた者同士で語るのは楽しいだろう。ネットにもあらゆる考察や感想が書かれており、やはり話題の大作であった事は認知させられる。